透明なゆりかご

沖田×華さんの『透明なゆりかご』を読みました。

こちらも以前に読んだことのある作家さん。

産婦人科医院で実際に起こったエピソードを描いた漫画です。

まず、日本の死亡原因1位が人工中絶ということに驚きます。

1日に何件も入る出産と中絶の交差する現場。

そしてその1件1件が、もちろん淡々と進むわけではなく、さまざまなドラマを繰り広げます。

不倫の子を妊娠し、出産した女性。
誰からも祝福されない子を妊娠した女性。
妊娠した相手が不明な女の子。
急逝してしまう女性など・・・

どの話も重い話ばかりですが、現実で起こりうることばかりで、綺麗事だけではない、人間の業や愚かさがあらゆるところに散りばめられています。

そして命の現場が本当は壮絶なんだということを、改めて教えてくれ、思い出させてくれます。

しかしそれ以上に、赤ん坊の持つ不思議な生命力、すべてをかき消して流してくれるような、すべてを包み込むような力強い命の誕生が、この漫画の魅力となっています。

作者の、人間全体を見つめる優しく温かい目線が、涙なくては読めません。

「透明なゆりかご」のタイトルの所以。

光を見ずに消えていく胎児のことを考えると、命の不思議さ、命の尊さを考えずにはいられない作品です。

自分はたくさんの愛情を受けてこの世に存在しているんだな、と、なんだか涙が止まりませんでした。




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